vol.241 銀行融資と個人の連帯保証
こんにちは。
昨日は半袖でも汗ばむような天気でしたが、今日は反対に肌寒い感じで本当に調子が狂ってしまいますね。風邪をひきがちな季節ですので体調管理に万全をつくしましょう。
さて、今回は「銀行融資と個人の連帯保証」について書かせていただきます。
我々中小企業の場合、銀行から融資を受ける際には社長などの経営者に対し連帯保証人になることを要求されることが多いですね。場合によっては社長だけでなく、奥さまや関係企業、第三者まで連帯保証人になることを求められたりもします。融資をする側からすれば、中小企業は経営の安定度が低いという判断である意味当然なのかもしれませんが、一部上場企業などとの「差」は歴然としたものがあります。
例外的に信用保証協会に対し保証料を支払うことによって「保証」をしてもらうケースがありますが、それ以外の融資では連帯保証人は通常必要で、融資を受ける企業側からすれば隠れた大きな負担であることは間違いありません。
この「連帯保証人」とは、保証人に与えられる「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」を排除された人のことを言います。
「催告の抗弁権」がないとは → 債権者(貸し手)は、主たる債務者(借り手)相手でも連帯保証人相手でも、どちらに対しても請求できる。したがって債権者から連帯保証人に借金の返済を求められた時は、まず主たる債務者(借り手)に請求して下さい、とは言えないこと。
「検索の抗弁権」がないとは → 主たる債務者(借り手)は財産をもっているので、自分(連帯保証人)より先に主たる債務者(借り手)の財産を差し押さえてください、とは言えないこと。
つまり債権者は連帯保証人に対して主たる債務者と同じく請求できるため、連帯保証人の責任は非常に重いということですね。
この場合特に気をつけねばならないことは、たとえば会社が借金をして、社長が連帯保証をしている場合、その社長に万が一のことがあったときは、その個人の保証は相続人各自の相続分に応じて各相続人に分割されるという点です。たとえば1憶円の保証債務がある場合、相続人が妻と子供2人であれば、妻に5000万円、子供それぞれに2500万円の保証債務が分割されることになります。借金をしていても十分な保険に加入していないケースや、保険契約が借金の残高にリンクしていないケースが多く見受けられます。社長が連帯保証人になっている場合には、絶対にその保証を100%賄う金額の生命保険契約を結ばなければなりません。
2009年6月5日号(241号)
このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。