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あけぼの・経営ニュース

vol.382 借入金返済額と減価償却費の関係

 今日は涼しいですね。

 今盛んに騒がれているのはマイナンバー法だと思いますが、ここにきて年金番号の漏えい問題があり、年金制度に限っては適用開始時期を先延ばしにする話が出てまいりました。マイナンバーについては、民間企業のみならず役所の現場でも準備不足や運用の難しさが指摘され、今後どのような変遷をたどっていくか注視していきたいと思います。

 さて、最近設備投資の話が少しずつ増えてまいりました。そこで、設備投資に必要な銀行からの借入金返済と、減価償却費との対応について書かせていただきます。

 まず、機械装置を2250万円で新たに導入するとし、その機械の法定耐用年数が15年とします。そしてこの会社が毎年500万円の利益を上げていると仮定しましょう。この会社は銀行から年1.5%で全額融資を受けたとすると、年間に支払う利息は34万円(元本返済による利息減少はあえて無視します)となります。

  1. 減価償却費の計算(便宜上、定額法で簡単な計算をします)
    2250万円÷15年=150万円=減価償却費
  2. 毎年の利益と税金(40%)支払い後に残るお金
    (500万円-34万円-150万円)×(1-40%)=189万円
  3. 借入金の返済期間が7年と仮定すると毎年の返済額(元金のみ)は
    2250万円÷7年=322万円となりますので、上記3のお金189万円から322万円を控除すると、毎年133万円の資金ショートとなってしまいます。
  4. 次に、借入金の返済期間を15年と仮定すると毎年の返済額(元金のみ)は
    2250万円÷15年=150万円となりますので、上記3のお金189万円から150万円を控除すると、毎年39万円の資金が残っていくことになります。

 このように、借入金の返済元金部分は経費にはなりませんので、毎年の減価償却費よりも元金返済金額の方が大きい場合、その超過部分は、現実にお金が返済という形で出て行っているにも関わらず税金がかかり、二重の資金流出となります。返済期間が長くなると利息の総支払額が増えることを懸念される社長様もいらっしゃいますが、無理な返済で資金ショートでは、倒産の憂き目にあわないとも限りません。

 理想は、法定耐用年数=返済期間です。経費にならない元本返済額が減価償却費と一致しますので、納税の無駄が出ません。

2015年6月5日号(382号)

 このページは、佐藤典哉税理士事務所・株式会社あけぼの会計様が発行されている『あけぼの・経営ニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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