vol.298 経営のためのキャッシュフロー計算書
こんにちは。
小沢裁判が始まります。政治とカネの問題は大事ですが、イタリア国債の3段階格下げによる欧州危機の方がより深刻だと思います。欧州経済が破たんし、「5年以内はないが、10年以内は可能性が高い」と識者がいう日本経済の破たんが現実化してもらっては困ります。財政立て直しを急いで欲しいものです。
さて、292号に続き、今回もキャッシュフロー計算書について書かせていただきます。
キャッシュフロー計算書に金額を入れてご説明すると以下のようになります。
1.当期純利益(10百万円) 当期の純利益は現金で残っているわけではありません。利益がどう現預金になっていったかを調べるためここからスタートします。
2.営業キャッシュフロー(△20百万円) 本業でどれだけお金が増減したか、その経過と結果を表します。この例では利益は増えたが、たとえば売掛金が増え、かつ買掛金支払が増えて、その結果本業ベースではお金が減った状態です
3.投資キャッシュフロー(0百万円) 固定資産購入や保険積立金の積み立てなど投資として動いた「お金」を表します。投資も将来の資金を獲得するための活動ですが、今回は何もしなかったという例です。
4.フリーキャッシュフロー(△10百万円) 1から3までを合計した金額で、現金の出入りで見た純粋な儲けです。この金額がマイナスで期首の現預金が少ないと、新たに借入を起こさなければならなくなります。
5.財務キャッシュフロー(△0.5百万円) 借入金の新規借り入れや借金返済などで、どれだけのおカネが動いたかを表します。借入金の返済のみあったとします。
6.現預金の増減額(△1.5百万円) 1から5までの増減です。期首から今までいくら「お金」が増減したかです。
7.当期末(当月末)現預金残高(0.5百万円) 6+期首現預金(2百万円)ですね。結局、利益は10百万円ありましたが、現預金は1.5百万円減ったわけです。
事業上、銀行借入金がない企業はまれだと思います。ご存知のように利息は経費になりますが返済する元金は経費にならず、税引き後の利益から返済しますので、年間返済額の約2倍が「必要利益」になります。しかしこのキャッシュフロー計算書をご覧いただければ、実は借入金の返済は利益ではなく現金でしかできないことが分かります。そのために貸借対照表を意識した経営が重要なのですね。
2011年10月5日号(298号)
このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。