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佐藤会計タックスニュース

vol.329 売掛金、買掛金のサイトの勝ち負け

 ここ二日ほどは暖かいですね。明日はまた雪が降るようですが、少しずつ春の兆しを感じられる今日この頃です。

 さて、今回は手元で使えるお金を増やすポイントの一つ、売掛金、買掛金のサイトの勝ち負けについて書かせていただきます。

 <例>

 例えば、前月の売掛金500万円、買掛金270万円の会社があったとします。

 この会社の資金(現預金)の現状は、買掛金270万円―売掛金500万円=△230万円、つまり230万円分、売掛金と買掛金のサイトが「負けている」状態です。500万円の売上金がまだ入金されておらず、270万円の仕入れ代金をまだ払っていない状態ですので、差引230万円のお金が「足りていない」状態だということです。

 仮に100万円新たに売り上げたが、その全額が掛け売りだったとすると、

 <仕訳>

 (借方)売掛金 100万円 (貸方)売上 100万円 となります。

 しかし、この仕訳に現金取引を追加して考えてみると、

 (借方)現 金 100万円 (貸方)売上 100万円 (売って現金が入った)
 (借方)売掛金 100万円 (貸方)現金 100万円 (得意先にお金を貸すために、お金を払った)

 ということになります。この仕訳の現金100万円の入金と出金を相殺すると、最初の仕訳になるわけですね。

 つまり、本来は全額現金で売り上げたにも関わらず、得意先が現金の入金を待ってくれという状態なので、「売掛金」は現金を得意先に「貸した」という意味です。「貸付金」という名称にならないのは、単純に売り上げに伴う貸付金を「売掛金」という別の名称で呼んでいるだけです。買掛金も同様で、内容は「借入金」と同じです。売掛金=貸付金、買掛金=借入金、が実態なのです。

 この会社が1種類の商品しか扱っておらず、仮に業績が絶好調で売上が2倍になったとすると、売掛金も買掛金も2倍になりますので、「サイト負け」する金額は、230万円の2倍、つまり460万円になります。その結果、増えた利益(これは現金増減とは無関係な計算上の利益ですね)の40%は現金で税金に取られ、さらに新たに230万円の資金が足りなくなります。「サイトが負けている」とは、現金が手元に入ってこない自社の体質を表しますので、単に黒字かどうかではなく、自社の財務状態がどういう構造になっているかを良く知っておく必要があります。自社の体質改善がポイントです。

2013年2月5日号(329号)

 このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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