vol.337 祖父母などから孫などへの教育資金の贈与の非課税
株価が乱高下しています。
マスコミは早くもアベノミクス失望論を喧伝していますが、景気は着実に上がっています。高給取りのマスコミ関係者は高みの見物でしょうが、中小企業にとってはここで景況が良くなるかどうかは大事です。景気の「気」に、水をかけてほしくないですね。
さて、今回は「祖父母などから孫などへの教育資金の贈与の非課税制度」について書かせていただきます。
この制度は1500万円まで贈与税がかからない制度ですね。概要はすでにご存じかと思いますので、この制度の使い方についてちょっと触れてみたいと思います。
<ポイント>
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- 金融機関によって、信託された資金の前払い可、前払不可の2種類がある
- →数少ない金融機関では、前払できる信託商品があるそうです。これは、将来孫などが金融機関から資金を引き出す際に、教育に使った領収証がなくても、資金を引き出せる商品です。つまり、先に資金を引き出して、そのお金を教育資金に使うという流れになり、孫などの「立替」が不要なわけです。繰り返しになりますが、前払ですから、資金引き出しの際、当然「領収証」はいりません。
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- 前払できる信託商品から引き出した資金は、実は教育目的以外にも使える
- →この制度は教育資金の贈与税の非課税制度なので、教育以外に使えば当然贈与税はかかります。でも、将来孫などが教育資金以外にお金が必要になる事態(結婚、出産等)はあり得るわけですので、その孫のために保管しておく資金としては使えます。
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- 孫などが教育資金以外に使ったお金は、その使った年度ではなく、孫などが30歳になったなど、教育資金管理契約の終了時に贈与税がかかる
- →国税庁はQ&Aの中で、孫が宝石を買った場合を例に挙げており、その際は同契約が終了する年に贈与税の課税価格に算入する、としています。もちろん、宝石を例に挙げるくらいですから、教育以外に使うことを禁じているわけではありません。
問題は、前払可のタイプの信託商品を取り扱っている金融機関が少ない(どこの金融機関かはインターネットかなんかで調べるしかないようですね)らしいことと、もう一つ大事なことは、前払可のタイプと前払不可のタイプのいずれかを最初に選択すると、あとで変更ができないことです。したがって、贈与する祖父母側が孫に教育資金のみに使ってほしければ前払不可の信託を選び、教育以外にも使って構わないのであれば、前払できる信託商品を選ぶということになります。
2013年6月5日号(337号)
文中、1. 2. 3. の部分の原文は、それぞれ○付きの数字です。
このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『佐藤会計・タックスニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。