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あけぼの・経営ニュース

vol.342 新築か、或いは増改築か?

 最高裁で、婚外子の法定相続分を半分とする現行法は違憲である、との判決が出ました。年内には民法の改正をする必要があると政府は言っていますので、民法改正後の今後の相続については、婚外子であっても同じ相続権が認められることになります。

 日本以外の先進国では婚姻届を出さないで実質的夫婦関係を続ける、いわゆる結婚形態の多様化が進んでおり、婚外子に同等の権利を与えたことが人口増加に役立っているようです。イギリスでは小学校が足りなくなり、週3日制にして交代で通学する制度を検討中というニュースを見ましたが、これは移民の増加と婚外子の権利が守られているという2つの理由により、子供を産みやすい環境が出来上がっているためのようです。

 保守的に思えるイギリスでさえそういう現状ということですから、大きな時代の変化を感じますね。

 さて、今回は消費税の増税が予想されることから、増税前の駆け込み需要が大きい住宅建設のうち、住宅借入金等特別控除の可否に影響する新築か増改築か、という判定について書かせていただきます。

 住宅借入金等特別控除の適用を受けられるのは、一定の要件を満たす居住用家屋の新築又は自己の所有する家屋への増改築を行った場合です。そのうち新築家屋については、たとえ狭い家であったとしても、日常生活を営む上で欠かせない基本設備(玄関・バス・トイレ・キッチン、寝室等)を備え、自己の居住の用に供している場合には、新築家屋に該当するとされています。

 ただし、その家屋が独立した新築家屋であるか、あるいは既存家屋に増築されたものであるかは、登記簿上の「登記原因」がどのように表示されているかがまず重要で、登記原因が「新築」とされている必要があるようです。

 「固定資産税実務提要」という解説本では、「旧家屋に渡り廊下でつなげて建築した新家屋は、新築又は増築のいずれとして取り扱うべきか」という問いに対し、「増築とは、家屋の個数を増加させずに床面積の増加をもたらすことをいうものである。したがって、新家屋部分が1個の家屋と判断できるものであれば、当該新家屋部分は、新築として扱うのが適当と考えられる。」としています。

 そうしますと、例えば新築する家屋が母屋と通路でつながっていて自由に行き来できる構造であったとしても、玄関等の基本設備が備えられ、かつ登記原因も「新築」とされていれば、増改築ではなく新築家屋の取得と考えられます。新築か増改築かによって、税制上の取り扱いは変わってまいりますので、大事なポイントですね。

2013年9月5日号(342号)

 このページは、佐藤会計事務所(所長・税理士 佐藤 典哉)様が発行されている『あけぼの・経営ニュース』をちくナビ!でも読めるようにしたものです。掲載上、一部元原稿とはレイアウト等に違いがあることをご了承ください。

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